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2009年2月12日 こちふかば
京都へ行った折に、北野天満宮の梅を見てきた。
こちふかば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春をわするな とは有名な菅原道真の歌である。 政略に敗れて九州へ流されたとき、 その出発の時に歌ったものだそうである。
物を見て、その物にある種の感慨をもたらすのは、 やはり歴史の力だろう。 千年もむかしに、1人の貴族がはるか彼方に流された。 その距離感、遠流感は、現代の比ではあるまい。 当時、流刑は死刑の次に重い刑だったという。
こちとは「東風」である。 東風が吹いたら、匂いを私のもとまで寄越してくれ、梅の花よ。 主人がいないからといって、春であることを忘れるな、 といった意味らしい。 そのような思いで梅を見た。 歴史と自然は何かを語りかけてくる。
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