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2009年4月 9日 きらめきと永遠
「まぼろしの薩摩切子」展がサントリー美術館で開かれている(5月17日まで)。 英文のサブタイトルを見ると、 A glittering interlude:Visions of Satuma-kirikoとある。 glittering interludeとは、限られた短い時間の間の輝きだ。 ご存じの通り、薩摩切子は、薩摩藩が幕末から 明治初頭にかけて生産したガラス細工、カットグラス(切子)である。 島津斉彬公も愛し、篤姫の嫁入りの品ともなったという。 幕末から明治初期にいたるわずかな時の光芒の間に生まれた、 まさに「一瞬のきらめき」である。
しかしその美は永遠化した。
まるで時間が結晶化したような薩摩切子の美は、 器に無限の時の流れを封じ込めたようである。 人は物を観ているのではない、 永遠化された時間の美を見ているのだ。
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