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2009年4月13日 暮らすように旅し、旅するように暮らす。
日本文化の深い理解者、アレックス・カー氏と梶浦秀樹氏ら が設立した株式会社「庵」は、 「京町屋ステイ」をはじめとして、数々の文化事業を行っている。 私も京都ブランド研究会の座長を務めている縁もあり、 微力ながらお手伝いさせていただいている。
先日、その町屋を訪れたが、感慨深いものがあった。 日本人の本来の暮らし方のひとつに、 私流に言えば、「暮らすように旅し、 旅するように暮らす」というコンセプトがある。 西行、芭蕉、山頭火、尾崎放哉など、 旅に生き、旅に暮らした芸術家は枚挙に暇がない。 鴨長明、良寛なども、心は旅し続けた人々だっただろう。
どのような生き方をしても、心に漂泊を抱えているのが、 日本人の心性のひとつと言える。 それは現代を生きる私たちにとっても、 心の奥深くにしまいこまれているが、 まだ脈々と生き続けているDNAであろう。 京都の町屋は、そのような日本人の心に訴える。
物の所有を捨てて、心の充足に生きる。 これからの時代と日本人の心性は、見事に重なっているように思える。
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