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2009年4月27日 琳派に想う。
俵屋宗達、本阿弥光悦、尾形光琳、尾形乾山、鈴木基一と続く 日本絵画の一大流派、それが「琳派」だ。 戦国時代から江戸初期へと続く激動の時代に、 今で言う「琳派」は、俵屋宗達を嚆矢として生まれた。 本阿弥光悦は、家康から洛北鷹ヶ峰の地を拝領し「光悦村」を作った。 さまざまな分野の町衆の文化人や職人、芸術家たちを集めて、 独自の文化を築きあげた。 400年も前にアート・ヴィレッジがあったことに感動する。
近代以前にアーティストはいなかったという。 近代以前にいたのはアルチザンであり、 彼らは近代以降のアーティストのように 自己表現のために絵や彫刻を作ったのではなく、 その時の権力者や富裕な町人のためにアートを制作していた。 お抱えだったのである。 これはミケランジェロやダヴィンチ、 モーツアルトやバッハなどについても同じことが言える。
しかし今日の目から見れば、どれもが燦然たるアートである。 自分に対する評価者がはっきりしており、 生活はすべてそのパトロンにかかっている。 自己主張や自我などという甘えが出せる余地はなかったのである。 その分、技術と感性は圧倒的に研ぎ澄まされ、 自ら知らぬうちにその時代を代表するアートとなっていく。 それを私たちはかけがえのないものとして享受しているのだ。
絵はすべて尾形光琳。日本美術絵画全集(集英社)より。
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