2009年5月29日
マイナスのデザイン
従来、デザインは足していく方向に強化されてきた。しかしこれからは「引くデザイン」である。特に東京におけるデザイン過剰は、トータルなデザイン視点なきままに、カオスといえば聞こえがいいが、要は混乱しているのである。
ところで電線と電柱がある世界都市は、東京とムンバイだけだと聞いた。デザイン過剰都市からマイナス・デザイン都市へ移行するとき、電柱をなくし、電線を地中に埋めることも重要だ。これだけでどれだけ景観が変わるかは、横浜の中華街を見ればわかる。都市デザインの最低ガイドラインとして、電柱と電線を地上から消したい。
私が所属する日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)でも、過剰なデザインから反転するために、「マイナスのデザイン」運動を起こそうとしている。日本文化が本来的に持っている、余白、縮小、小型などの美意識は、マイナスのデザインそのものだといえるだろう。