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谷口正和 プロフィール

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2009年7月31日

美は旅人。

 

 

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明治維新後の混乱もあり、日本の美術は世界中に飛び散った。

中でもシアトル美術館は日本の美術品を多数集めているので有名である。

同館の持つ7,000件におよぶ日本・東洋美術コレクションの中から、

最高の日本美術がサントリー美術館で公開されている(9月6日まで)。

鎌倉時代の名宝「浦島蒔絵手箱」、江戸時代初期の屏風「烏図」をはじめ、

時代もジャンルも多岐にわたり、選りすぐりの名品約100件を目にすることができる。

同館のコレクションがアメリカ国外でまとまったかたちで

公開されるのは世界で初めてのこととか。

まるで玉手箱から次々と取り出された宝物のような、美の宝石たちだ。

 

最終、優れた美術品は、その出自を超えて、

世界のものになる。美も旅する時代なのだ。

 

 

2009年7月30日

和×和。

 

 

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ふろしきへの注目が高まっている。

たった一枚の布で、なんでもラッピングしてしまう、その自由自在性。

水は方円の器に随うというが、

ふろしきもまた、方円に随って、自由自在になんでも包んでしまう。

物を取り出してしまえば、またもとの一枚の布に還る。

布に描かれたデザインの美しさも、風呂敷のもうひとつの魅力だ。

 

和菓子もまたデザイン美に満ちた食べ物である。

日本の食べ物は目で味わうというが、

和菓子はその最たるもののひとつだろう。

 


唐草屋などで知られる京都の代表的ふろしきメーカーの宮井株式会社と、

和菓子のとらやがコラボレーションして、

京都限定商品の「とらや羊羹×はんかち風呂敷」

というオリジナル商品を作った。

和の布×和の食、そこに日本ならではのハーモニーが奏でられている。

 

日本の美意識が、そこかしこに現れる時代が来た。

不易流行、伝統が革新を生んでいく。

 

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宮井宏明氏が監修された京ふろしきの美しい本。

2009年7月29日

伝統が革新になる時。

 

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東京駅は京橋側ではなく、まだ野原だった丸の内側に建設された。

理由は皇居の正面に設定し、

皇室専用貴賓出入口を作るためだったそうである。

 

そんな東京駅の歴史と未来を展望する冊子

『GRANSTA~進化する東京駅と東京ステーションシティ』を

鉄道会館・野崎哲夫社長よりお送りいただいた。

ご存じの通り、東京駅は東京のセントラルステーションとして、

今大変貌を遂げつつある。

歴史は必ず過去から未来へと反転する。

大きな過去は大きな未来へと反転するのだ。

 

今エコロジーの面から新たな注目を集めつつある

モーダルシフトとしての鉄道、

また人々の集積センターとしての意味合いを強く持つ駅、

その融合と成長に興味は尽きない。

 

 

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2009年7月28日

ありがとう。

 


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華頂短期大学が子どもたちに創造する力と感謝する心を伝えたいと

スタートした「未来のこどもプロジェクト」。

その中心となる絵本大賞の第一回が2007年に開催され、

「ありがとう」というテーマに330作品が集まった。

 

「めごやめごやのおばあちゃん」で審査員賞を受賞した

横山一枝さんから、絵葉書をいただいた。

なんだか懐かしい日本の風景が、優しいタッチで描かれている。

 

横山さんの絵本を含めて、同賞の受賞作品が一冊の本になっている。

『未来のこども  7巻セット』で幻冬舎より出版されている。

横山さんの母校の小学校にも寄贈されたそうだ。

絵本のチカラの持つ柔らかい力を感じ取っていただけるだろう。

まさにソフトパワーである。

 

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2009年7月27日

ラストノート。

 


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人の人生にいつかは終わりは来る。

人は後世に何を残したかが生きた証と言えるだろう。

いわゆる遺言というものはあるが、

それは財産分与というような物的側面にシフトしたものが多い。

 

日本のセレモニー分野のリーダーの1人である一条真也氏が、

一冊の興味深い本を送ってくれた。

『思い出ノート』という本である。

自分自身で自分の人生の思い出を書き込む本で、

残された人へのメッセージであり、自分自身への回想録だ。

年代別に記入する欄など、きめが細かい。

人生の最後に出会うラストノートと言えるだろう。

わたしたちは人生の最後にあたって、

どのような言葉を刻むのだろうか。

高齢社会はラストノート社会だといえる。

ジェロントロジーの視点から見ても興味深い。

 

 

2009年7月16日

絆。

 


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立命館大学MBAコースの生徒たちが、

卒業生も含めて、年に1回わたしと会えるようにと、

「彦星会」というものを開いてくれている。

毎年7月7日前後に開かれるが、

わたしの誕生日が7月29日なので、誕生会もかねている。

写真はその時の風景である。ありがたいことである。

文化も知恵も、師と弟子という関係に中で引き継がれていく。

これは学問や芸能だけではなく、

最近ではスポーツの世界でもよく言われるようになった。

あのイチローにも、たぶん何人もの師がいるに違いない。

人の成功や業績は単独で為し得るものではなく、

連綿とした継続の中から生まれてくるのだ。

何かを成し遂げた人が、

周辺への感謝のコメントを述べるケースが増えてきたように感じられる。

「絆」の大切さだろう。

 


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下の写真はベトナム製のペンケースで、

立命館大学医療研究センターの客員研究員である光山誠氏が、

最近ベトナムへ行ったときにお土産に買ってきてくれたものである。

ハンドメイドな異国文化の香りが大変いい。

ありがとうございました。

 

 

 

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2009年7月15日

水の道。

 


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立命館大学大阪キャンバスは、淀屋橋の直近にある。

土佐堀川を挟んで、真ん前が大阪市役所である。

私はここでMBAコースの学生たちに教えている。

 


ご存じの通り、大阪は水の都だ。

大坂が日本の商業センターになり得たのも、

この水運都市とてしての機能が大きく働いていたろう。

 

 

港とは「水門(みなと)」と書く。

大坂も江戸も、本来「水門」都市だったのだ。

日本は山の国だから、

水が中央の山の背を分けるように左右へ流れる。

大坂も江戸も、その水の流れを享受した水の都だったのである。

 


近代は、この日本本来の道とでもいうべき「水の道」を

ほとんどコンクリートで覆ってしまった。

その代わりその上に「陸の道」を作って、

現在の反エコ都市を作り上げてしまったのである。

もう一度水の道へとモーダルシフトである。

 

本来、森と水の国だった日本に、水の道くらい似合うものはないだろう。

2009年7月13日

University Identity


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パオスの中西元男さんから、

早稲田大学のUI(University Identity)の

デザインガイドラインをお送りいただいた。

早稲田大学が創立125周年を迎えたのを機に

開発導入されたものだという。

企業のアイデンティティはCIだが、大学のそれはUIである。

基本になるのは、知的創造的に拠って立つ根拠は何か、であろう。

それを内部外部を問わず社会的に共有し、

思想的にも視覚的にも早稲田アイデンティティを確立していく。

 


中西さんは、デザイン・アイデンティティを「角帽」に求めた。

フクちゃんでおなじみの角帽である。

上から見た時に「正ひし形」に見える角帽をデザインのベースとして、

早稲田ならではのアイデンティティを進行中である。

今後をさらに期待したい。

2009年7月 9日

柚子への想い。

 

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由布院温泉の玉の湯会長の溝口薫平氏から、

薫り高い柚子をお贈りいただいた。

ご覧の通り、眩しいほどの青さである。

由布院はご存じの通り、大分県にあり、

日本でも有数の温泉リゾート地として知られている。

従来型のマス温泉観光地に陥ることなく、

文化地消型の固有性の高い温泉地を

30年以上かけて作り上げてきた。

 

溝口薫平氏はそのリード役の1人である。

これからの観光は文化がその軸になる。

その土地から湧き上がってくる目に見えない文化土壌が、

その温泉地の個性を作り出していくのだ。

柚子を見ながらそう思った。

 

2009年7月 6日

二条陣屋。

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京都には様々な隠れた名所みたいなところがあるが、

この二条陣屋もそのひとつだろう。

正式には小川家住宅と言い、

江戸時代初期に建てられた重要文化財の建築である。

お池通りを入ったところにあり、立命館大学の朱雀校舎のすぐそばにある。

現在も人が住んでいるという。二条陣屋は

京に屋敷を持たない大名の上洛中の陣屋にもなった。

大名の身の安全を守るためのカラクリを持つ部屋を多数備えているという。

 

建物は歴史を今に伝える語り部だ。

二条陣屋の前に佇むだけで、

京都の長い歴史の一端を感じることができる。

2009年7月 3日

仏教再生。

 

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20世紀の世界を一言で言えば、宗教からの乖離だったろう。

近代化が世界再編のテーゼとなり、

見えざるものは見えるものに駆逐されていった。

 

ここから反転して、21世紀は宗教的なるものへの親炙である。

見えざるものが世界を動かしていることへの直感的洞察だ。


秋田光哉氏が著書を出された。

秋田氏は立命館大学院経営管理研究科MBAコースの私の生徒である。

浄土宗光聖寺の住職であり、現役の宗教者である。

彼は長期凋落傾向にある仏教の再生を願い、

それをビジネス的マーケティング的に考えると

どうなるかを研究するためにMBAコースに学びに来た。

新時代の経営ノウハウと古来からの宗教がどうシンクロするのか、大変興味深い。

 

秋田氏の考え方と行動が著書

『社会事業による寺院の再生~MBA僧侶の挑戦』(中外日報社)

という一冊になって世に出た。

ぜひご一読願いたい。


 

2009年7月 1日

起。

 

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本当の意味のベンチャーの時代である。

自己利益のための起業ではなく、

他者貢献のための起業。

 

「起」とは走るのをやめて立ち上がるという意味である。

走っているだけでは、起業はできない。

一度立ち止まり、よく考え、ビジョンをしっかりと形成し、

それから立ち上がる。

今度は横に走るのではなく、縦に伸びる。

その時、よって立つ地面を深く掘る。

それが「起業」だ。

京都は本来的に深く文化を内蔵している。

ビジョンを形成し、伸びる土壌としていいところだ。

 

第3回京都文化ベンチャーコンペティションが開催されている

(全国応募、9月10日まで)。

文化資源や文化芸術の力を活用したビジネスモデルや

ビジネスアイデアを募集する。

あなたもひとつチャレンジしてみて欲しい。

 

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