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谷口正和 プロフィール

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2010年1月13日

角川俳句賞。

 

当社のコピーライターである相子智恵さんが、

名誉ある賞をいただいた。

第55回角川俳句賞である。

朝日新聞1月7日の夕刊に報道されていたのでご紹介する。

横に長い紙面だったので2段に分けてごらんいただく。

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ご存じの通り、角川俳句賞は新人の登竜門であり、

創設は昭和30年、俳壇の芥川賞ともいうべき権威ある存在だ。

応募総数は732篇であったという。

まず応募しようというその心構えが素晴らしい。

優れた人は必ず何かのきっかけでデビューするのであり、

そのデビュー感こそ重要だろう。

 

受賞作は「萵苣」(ちしゃ)と言い、

以下にご紹介するみごとな俳句によって編まれている。


日盛や梯子貼りつくガスタンク

砂払ふ浮輪の中の鈴の音

いちまいの漣びかり萵苣はがす


受賞作以外にも、思わずその視点にハッとする秀句がある。


阿修羅三面互ひ見えずよ寒の内

座布団持ち車掌交代秋の山

にはとりのまぶた下よりとぢて冬

一滴の我一瀑を落ちにけり

 

選者の評に

「細かいところ、詠み尽くされたところを詠んでいるが抜きん出たうまさがある」

「季語の斡旋がうまい」とあるが、

そのとおり、すでに俳句の本質をつかんでいる感がある。

 

俳句は日本人の感性が産んだ芸術であるが、

その長い歴史の中ですでに何百万句が詠まれているはずだが、

ひとつとして同じ視点であるものがないのに感嘆する。

視点の微差によって、まったく新しい世界が現れるのである。

相子さんは新たにその視点開発者に加わった。

おめでとう、相子さん。

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