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2011年5月13日 空間のマジシャン。
そのように見えているものが、実際にそうであるかは、 視覚だけでは判断できない。 道にごろりと大きな岩が転がっていても、 それが岩であるかどうかは、そばに行って押してみるしかない。 中ががらんどうの風袋かもしれないのである。 壁にドアがあっても、それはギミックとしての“絵のドア”かも知れない。 逆に言えば、見えているものが“実態”なのである。 人間は、そのように視覚を錯覚化して遊んできた。
相羽高徳氏はこの視覚のトリックで空間を構成して見せる名人である。 新横浜ラーメン博物館、NINJA AKASAKA/KYOTOなどの名前を聞けば、 相羽氏の空間デザインの妙を納得いただけるだろう。
氏の近著『東京妙案~「人が賑わう空間」を創る発想力の秘密』 (日本経済新聞出版社)で、その秘密の一端に触れることができる。 まさに色即是空、空即是色。あると思えばない、ないと思えばある。 バーチャルとリアルの行ったり来たりだ。 情報の時代の稀代のマジシャン、それが相羽高徳氏だ。
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