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谷口正和 プロフィール

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2011年6月30日

色彩の魔術。

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結局、人間が見ているのは色とカタチである。

他の動物であれば、匂いも大きな確認要素だろうが、

コミュニケーションの80%以上を視覚に頼っている人間にとって、

色彩は最大の情報だろう。

 

玉村咏 (たまむらえい)氏は、

私が座長を務める京都ブランド研究会のメンバーであり、

「そめこうげい攸」代表である。

デザインから最終工程までを一貫して制作し、

多彩な造形作品を手掛ける。

キモノ作家でもある。

その色彩の魔術は、見るものを捉えて離さない。

淡交ビエンナーレ大賞を受賞するなど、

社会的評価も高い。

当社のライフデザインブックス刊の『京の着眼力』でも

トップにご登場いただいている。

 

京都の多層的な文化は、このようなアーティストであり

アルチザンでもある人たちによって、

営々と引き継がれてきた。

文化は一朝にしてならずと、つくづく思う。

 

 

2011年6月27日

Everyday Sweets

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「日常の幸福」志向が続いている。

穏やかで、何事もないことの幸福感。

東北の大震災を受けて、

あらためて人々は日常の大切さに気づいた。

スイーツブームなども、日常の幸福を感じさせる現象だろう。

ちょっと甘く、ちょっと幸せ。

アフタヌーンティー、ブランチ。

食文化は、常に時代の鏡として、

その時代、その時代の人々の心理を映し出すが、

スイーツはそのシンボル商品だとも言える。

イチゴ、スイカなどが典型的な日常のスイーツフルーツだ。


家で過ごすことが多くなった「おうち現象」などとあいまって、

Everyday Sweets、

毎日の幸福感商品が支持される時代になった。

被災地の方々に一刻も早く幸福な日常が

戻ってくることを切に祈るばかりだ。

2011年6月20日

コンセプト&クリエイション。

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尊敬するGKデザイングループの栄久庵憲司さんが

「池中蓮華(ちちゅうれんげ)」展を開かれる。

栄久庵さんとGKデザイングループは、

時代や社会に対する様々な提言や提案を

「展示会」というかたちで投げかけてきた。

今回の「池中蓮華」展は、極楽浄土の風景を連想させる蓮華の池が、

人々を大きく包み込むような斬新な空間演出であるそうだ。

モノづくりを通した「デザインのユートピア像」の探求であるとともに、

未来の方向性を示す試みであるという。

 

どのような行為も、コンセプト&クリエイションである。

まずコンセプトを創造して、次ににクリエイションを想像するのだ。

コンセプト&イマジネーションと言ってもいい。

栄久庵さんは、まさにコンセプター&クリエイターである。

 


7月1日から7月10日まで、新宿パークタワーの1Fアトリウムで開催される。

私もぜひお伺いして、栄久庵さんと未来ビジョンについて語り合いたい。

 

2011年6月15日

時間単位の市場戦略。

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ますます「時間」という価値軸に焦点が当たり始めている。

早朝の時間帯で言えば、朝4時に出勤して、

朝の時間を有効に使おうという「ヨジラー」が注目を集めている。

1日は24時間しかないという視点に立てば、大変合理的な発想である。

一方、夕方の時間帯で言えば、サマータイム導入に合わせて

「アフター4」という市場が誕生しそうだ。

「アフター5」ではなく、1時間早く仕事が終わるサマータイムに合わせた市場観察である。

どちらもライフスタイルの中の時間の過ごし方であり、

社会が時間帯に合わせて変わっていく様が見てとれる。

 


私は時間が最大のマーケティングコンセプトのひとつになると考えて、

2007年に講談社から『時間単位の市場戦略』という本を出させていただいた。

「価値は時間から創出される」というのが基本的趣旨である。

「時間」で顧客を見る。

顧客の新しいライフスタイル要請を「時間」という視点から切りなおす。

そのことが最も重要な市場戦略になった今日、

あらためて『時間単位の市場戦略』を自分で再読している。

どのような業態もサービスも商品も、「時間」で再編すべき時だろう。

 

 


 

2011年6月14日

都市の構想力。

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横浜が変わろうとしている。

横浜はMM21の建設など、

他に比べてかなりのスケールで進展している都市だが、

今回はいよいよ核とも言うべき

横浜駅とその周辺の改革に着手しようとしている。

 

横浜ステーションビルの濱田賢治社長より、

横浜駅西口の変化を一望することができる

『横浜駅西口STORY~市民が捉えた半世紀』(神奈川新聞社)

という写真集をお送りいただいた。

横浜CIAL50周年の記念写真集で、

戦後から現在に至る映像の記録である。

歴史があれば、そこに未来がある。

横浜がどのような変貌を遂げていくのか、

その「都市の構想力」に思いを馳せながら、大変興味深く拝見した。

2011年6月 9日

哲学が商品になる時。

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無印良品と言えば、今日の廉価良質の流れを作り出した最初の商品である。

確か、「理由(わけ)あって、安い」というのがキャッチフレーズであったと思う。

私の著書にも『選ばれる理由』というものがあるが、

情報とサービスの時代の今日、選ばれる理由作りこそ差異化の基本であり、

ブランディングの王道なのだ。

無印良品は今日もマーケットから大きな支持を集めているが、

それは実体を伴ったブランディングに成功したからであり、

レピュテーション(評判)とブランディングが合致した

稀有な例と言えるかもしれない。

堤清二氏という、時代が生んだイノベーターが作り出した

アートとも言える商品である。

そう、堤清二氏は、私が言うところのマーケティング・アーティストなのである。

本書『思想としての「無印良品」~時代と消費と日本と』

(千倉書房・深澤徳著)をお読みいただければ、

マーケティング・アーティストの意味をご理解いただけるはずだ。

2011年6月 6日

価値観の発見。

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二期倶楽部の北山ひとみさんが発行人を務める

『山のシューレ2010』が届いた。

『山のシューレ』は、その名の通り「山の学校」である。

那須山麓にあるアート・ビオトープ那須で

開催されている知的ディスカッションの場だ。

今回のテーマは「自然の叡智~21世紀の文化と技を考える」である。

21世紀を決定付けるのは、行くべき方向を指し示す価値観の発見だ。

いわば構想力の発見である。

中沢新一氏、原研哉氏などの論客が集まり、

自然の叡智と人間世界との関係について、それぞれの論を交わしている。

自然の叡智に学ばなければ、

もはや地球は成り立たないところまできていることは明らかだろう。

プロデューサー、北山ひとみさんの知的レベルとその能力に敬意を表したい。

2011年6月 1日

昭和に学ぶ。

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今あらゆるところで、「昭和学習」が始まっている。

昭和は64年間の永きにわたっており、

そこには国力を過信するあまり無残な敗戦に至る戦争体験、

あるいは明治以降のたゆまぬ研究・努力が

開花した日本独自の工業力発展など、

学ぶべき教訓が多く眠っている。

またあまりにも合理化、個人化された現代社会への反発から、

昭和という時代に本当の生活の匂い、

家族のあるべき姿を学ぶ人も多い。

 

前回に引き続いて、鉄道の本を紹介する。

『昭和の鉄道~近代鉄道への基盤づくり』(交通新聞社)という本である。

著者の須田寛氏はJR東海の初代社長を務められ、

長く日本の鉄道経営の中枢におられた方である。

前回の田中宏昌氏と同じく、生涯を鉄道に捧げている。

昭和という時代を引っ張り、

今も日本の移動社会を引っ張る鉄道への愛情が行間から滲み出している。

昭和という時代を鉄道経営を通して学ぶ本である。

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