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2011年7月11日 EDOが未来。
どのような未来が来るのだろうか。 20世紀の科学を主体とした未来観は、 科学信仰による、言わば鉄腕アトムの世界である。 科学の力によって都市は空中都市になり、 テクノロジーの粋を集めた高層都市が林立し、 人々はロボットにかしずかれ、 科学が人間の幸福を100%保証する未来だった。 時間は直線的に未来に向かって矢のように走っていくのである。
しかしエコロジーの論議から始まった未来観は、 この論議に終止符を打ったように私は思う。 時間は循環するのであり、 だからこそ、過去が未来になるのだ。
江戸時代は、私たち日本人が歴史の中で 体験してきた最高モデルとしての3R社会だった。 まさに物も知恵も循環して終わりなく引き継がれていき、 そこにはムダに対する「もったいない」の思想があった。 風鈴、うちわ、打ち水、浴衣、縁台、行水といった、 自然再生エネルギーの活用が、日常の生活の中に取り込まれていた。
電気という巨大エネルギー源の開発によって、 私たちは自然の知恵を忘れてしまった。 自然は人間が自由にコントロールできる対象物になってしまった。
今こそ江戸時代の知恵を取り戻す時ではないだろうか。 当社が主宰している「江戸美学研究会」の 江戸帖の2012年版が8月に販売開始予定だ。 2011年版も、おかげさまで好評をいただいた。 今回もカバーは竺仙(ちくせん)さんの浴衣の柄を使わせていただいている。 EDOが未来。歴史その方向に向かっている。 |