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谷口正和 プロフィール

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2011年8月29日

金属工芸の若き匠

 

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植田千香子さんは、金属工芸というジャンルで活躍されている。

 この領域は工芸的な概念が強いが、彼女の認識は、

素材が金属であろうが何であろうが、

「すべては生活工芸でなければ意味がない」というもの。

生活者として地に足をつけたところから、

女性の目線でよりよい道具をつくることを目指している。

手業で叩いてのばすという作業は肉体労働でもあるが、

お父さんの跡を継いで、

優れた生活道具の職人であろうとしている。

代表的な作品のいくつかをここでご紹介したい。

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2011年8月22日

漆器の魅力。

350年の伝統を有する京漆器の老舗である象彦の西村毅社長は、私も参加させていただいている京都ブランド研究会の主軸メンバーのひとり。

象彦という会社の京都本店は平安神宮の近くにあり、そこを、漆を中心とした生活文化ミュージアムとして再編しようという流れをつくられている。

それと同じ目的を持って、「華麗なる<京蒔絵>-三井家と象彦漆器-」が9月17日(土)から三井記念美術館で開催される。

漆器は生活の道具として文化的位置を得てきたが、結果として三井家は漆器のコレクターの役割を担ってきた。

その三井家旧蔵の象彦作品約40点が一挙初公開される。

生活文化としての道具が今日の生活芸術を形成してきた。

われわれは京都、江戸で生まれた生活文化そのものをもう一度取り戻せるかというシナリオの中にいる。

そのことを象徴する展示なので、初日には私も足を運ぼうと考えている。

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2011年8月15日

風景の一期一会。

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世界中をカヌーで旅している

月尾嘉男さんから数葉の写真をいただいた。

震災前の三陸海岸と松島を行く月尾さんである。

この風景と全く同じものはもはやない。

人が出会うものはすべて一期一会であり、

それは風景も同じだ。

私たちの記憶の中には生きて出会って来た

無限の風景が仕舞い込まれているが、

一期一会性が強かったものほど思い出される機会が多いだろう。

私たちは常に今を生きているが、

それは一期一会の無限連鎖の中を生きているということだ、

人も風景も言葉も食べものも、

すべて一期一会としての存在である。

私たちは一瞬をつむいで生涯を生きていく一期一会の旅人なのだ。

 

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2011年8月 5日

旅の作り方。

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トラベル・マーケティングのプロ、

小林天心氏(観光進化研究所代表、亜細亜大学教授)が

『旅行企画のつくりかた~新しいツアープランと顧客の創造』(虹有社)という、
旅行企画の作り方入門として大変役に立つ本をお書きになった。

オーソドックスなトラベル・マーケティングの基本がまとめられている。

初心に帰るという言葉があるが、旅行プランのビギナーにもベテランにも

大変役に立つ有意義な本である。

旅行企画の教科書と言えるだろう。

 

世界は旅行と観光によって交流し、

相互の文化理解を深めていく時代であり、

その意味で観光と旅行こそ、最も重要な文化経済活動と言えるだろう。

 

旅行もコンセプト&クリエーション、考え方、テーマこそ問われる。

2011年8月 3日

塾長。

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今あらためて「塾」の時代である。

教育の原点であり終着点は「塾」であろう。

吉田松蔭の「松下村塾」、緒方洪庵の「適塾」、松下幸之助の「政経塾」など


幾多の人材を輩出しているのは「塾」である。

中谷彰宏氏もまた「塾」を志す人だろう。

氏の出版物は常に読者をはっきりと想定し、

モチベーションを超えたノウハウを指導する「教科書」だ。

今回お送りいただいた『リーダーの星~リーダーに生まれた君の33の魔法』(中谷彰宏事務所)、

『なぜあの人は逆境に強いのか』(ダイヤモンド社)、

『大きな差がつく小さなお金』(日本文芸社)

を読ませていただいて、

そのことを痛感した。

塾は塾長によって決まる。

 

その意味で、中谷彰宏氏は、現代の優れた塾長の一人だろう。

2011年8月 1日

高齢社会における顧客研究。

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日本小売業協会の生活者委員会が、2年余りの研究を経て、

『高齢社会における顧客研究』という研究リポート誌を上梓した。

私も同委員会でコーディネーターを務めさせていただいている。

少子高齢化というキーワードは、

すでに10年前以上から広く認知されては来たが、

小売業においては、これを自分たちの

喫緊の問題としてとらえることができなかった。

戦後長らく続いてきた若者中心の小売業認識から、

容易に脱することができなかったとも言える。

 

戦後65年余、ついに社会は我々の認識を追い越して、高齢社会に突入した。

もはや高齢社会間近ではない、その真っ只中に我々はいるのである。

 

ここで注意すべきは、社会全体が高齢化しているのであり、

高齢者だけが高齢になったわけではないということである。

高齢社会の特徴は、そのまま若い世代の特徴ともなり、

女性市場の特長ともなっているのである。

 

その核となる考え方がサステナビリティ=継続であり、

続けていくこと、続いていくことが最大の生活文化であることに、

あらゆる世代が気づき始めたということである。

シンプル、プレーン、ナチュラル、エコロジーなどの考え方もこれに連なる。

単なる新品消費が市場を形成していた時代は終わり、

リサイクルや中古を含めて、

継続が市場の中心コンセプトとなろうとしているということである。

 

顧客との生活接点を持つのが小売業の最大の特徴である。

顧客研究こそ、小売業の最大のエンジンであり、

広く全産業への貢献を果たすものだろう。

 

『高齢社会における顧客研究』は小売業協会の会員に向けて

発行されたもので市販はされていないが、

ぜひ一度機会があればしていた目を通していだきたいと思う。

市場、顧客への貢献は、まず顧客を研究することから始まる。

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