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2011年8月 1日 高齢社会における顧客研究。
日本小売業協会の生活者委員会が、2年余りの研究を経て、 『高齢社会における顧客研究』という研究リポート誌を上梓した。 私も同委員会でコーディネーターを務めさせていただいている。 少子高齢化というキーワードは、 すでに10年前以上から広く認知されては来たが、 小売業においては、これを自分たちの 喫緊の問題としてとらえることができなかった。 戦後長らく続いてきた若者中心の小売業認識から、 容易に脱することができなかったとも言える。
戦後65年余、ついに社会は我々の認識を追い越して、高齢社会に突入した。 もはや高齢社会間近ではない、その真っ只中に我々はいるのである。
ここで注意すべきは、社会全体が高齢化しているのであり、 高齢者だけが高齢になったわけではないということである。 高齢社会の特徴は、そのまま若い世代の特徴ともなり、 女性市場の特長ともなっているのである。
その核となる考え方がサステナビリティ=継続であり、 続けていくこと、続いていくことが最大の生活文化であることに、 あらゆる世代が気づき始めたということである。 シンプル、プレーン、ナチュラル、エコロジーなどの考え方もこれに連なる。 単なる新品消費が市場を形成していた時代は終わり、 リサイクルや中古を含めて、 継続が市場の中心コンセプトとなろうとしているということである。
顧客との生活接点を持つのが小売業の最大の特徴である。 顧客研究こそ、小売業の最大のエンジンであり、 広く全産業への貢献を果たすものだろう。
『高齢社会における顧客研究』は小売業協会の会員に向けて 発行されたもので市販はされていないが、 ぜひ一度機会があればしていた目を通していだきたいと思う。 市場、顧客への貢献は、まず顧客を研究することから始まる。 |