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2011年10月31日 専門大店への道。
核になるのはあくまでも「専門店」であり、「専門文化」なのだ。
阪急メンズが有楽町にオープンした。 阪急がメンズに挑み、大阪で成功した業態を引っさげての登場である。 イメージターゲットはジェットセッターで、 世界を股に駆けて働き、 遊ぶ男たちである。 イメージキャラクターは市川海老蔵であり、 日本文化の世界発信のシンボルということなのだろう。 これからは日本の固有文化を 世界に向けて発信していくことは非常に重要で、 各国、各民族が固有の文化を引っさげて交流する時代である。 一時はガラパゴスと揶揄された日本文化の大逆転である。 どのような文化も、そのガラパゴス化によって個性を磨き上げていくのである。 各フロアは一般的マーケティングから離脱して、 テーマによって情報密度が非常高い。その点を高く評価したい。 2011年10月26日 デザインの力。
氏の功績の中でも抜きん出ていたのは、 その圧倒的なデザイン力だろう。 マイクロソフトがどうしても勝てなかったのは、 アップル製品の卓越したデザイン力だったのではあるまいか。 宇宙に直線はなく、あるのは曲線のみだそうであるが、 アップル製品はまるでこの真理に沿って創られたようである。
「ジャパンデザインミュージアム構想」が動き出した。 これからの市場を動かすのは「デザインの力」だと言っても 過言ではない。日本デザイン協議会が発行した 『デザイン~ふたつの時代60sVS00sジャパンデザインミュージアム構想』は その大いなる宣言書と見ていいだろう。 2011年10月24日 japan
それほど日本を代表する工芸として 世界に認められているということだろう。 「象彦」は創業350年になる、日本を代表する漆専門店である。 その象彦の京都本店が10月8日、新装開店した。 中でも注目は「象彦漆美術館」の創設だろう。 象彦の企業文化の源である漆そのものの美術館であり、 独自の日本文化の発信である。 これからの企業は自ら企業コンセプトを文化として伝えていかねばならない。 カップヌードルミュージアムの開設など、その動きは見え始めている。 どちらも根底にあるものはjapanだろう。 2011年10月19日 グリーン・デザイン。
デザインという概念が、ようやく表層的なグラフィックを超えて、 生活のあらゆるジャンルに浸透し始めている。 グリーン・デザインもそのひとつだろう。 石原和幸氏から、2冊のご著書をお送りいただいた。 『世界一の庭師の仕事術』『緑のアイデア』(いずれもWAVE出版)である。 石原氏は国際ガーデニングショー「チェルシー・フラワーショー」において 3年連続ゴールドメダルを獲得した、天才的ガーデナーである。 この2冊の本には、 氏が持つガーデニング哲学とともに、 企業家としての成功と挫折が赤裸々に書かれている。 先日お会いする機会を得た。 当社もキッチンガーデニスト・クラブとテーマクラブを立ち上げ、 「ベジ&ハーブ手帳」という手帳を発行している。 石原氏とは、協力して「スモール・ガーデニング・アワード」を 立ち上げようと大いに盛り上がった。 2011年10月17日 風呂敷は「道具」。
たためば一枚の布、広げればどのような形も大きさも包み込んでしまう。 風呂敷の専門店、唐草屋は、その風呂敷の伝統と新しさを日本の生活道具として提供している。 どのような伝統も今の生活の中に使える「道具」として存在しなければ、いずれ滅ぶ。 唐草屋を運営する宮井ふろしきは、「世界のふろしき~西アジア・中央アジア編」 「みやび裂織物鑑展」などの催しで風呂敷の持つ世界性、文化性を伝えている。 伝統は「道具」として生き残る。 風呂敷一枚にもそのことは生きている。
2011年10月11日 VISIONARY&AMBITIOUS.
スティーヴ・ジョブズ氏が死んだ。
彼の業績についてはいまさら解説の要もないだろう。 中世の天才、レオナルドダヴィンチになぞらえる人もいる。 技術志向に進みすぎて行き詰まりを見せていた ITコミュニケーションの世界を 人間本来の直感と感性の世界に導いたのは、 紛れもなく彼の直感のなせる技だったろう。 グローバル・コミュニケーションとは、言葉の問題ではない。 言語区別を超えた感性コミュニケーションの問題である。 VISIONARYという言葉がある。洞察力のある、 明確なビジョンを持ったという意味が一般的であるが、 さらに言えば、実行不可能な空想、幻、幻想という意味もある。 その意味で彼は本当のVISIONARYだったと言える。 まさに「愚かであれ」が生んだのがiPhoneでありiPodだったのだろう。 北海道大学の銅像で有名なクラーク博士は、 Boys be ambitiousと言った。 アンビシャスとは大志どころではなく、野望、渇望であると言う。 ジョブス氏もまた幻を追うBoys be ambitiousの人生だったのだろう。 原理が分かってから行動するのでは突破できない。 成功に方程式はないのだ。 考えてから行動するのではない。 夢と行動は不可分なものなのだ。 彼の56年の人生がそれを証明した。
2011年10月 6日 集合天才。
立命館大学大学院経営管理研究科で、ともに教鞭をとる三好秀和氏から 『富裕層顧客の特性とアプローチ~プライベートバンカーのためのリテール戦略』(同友館) をお送りいただいた。 ファイナンス研究家、宅地建物取引の専門家など 計4名のスペシャリストによる分析書である。
チームによる研究は近代の流れである。 ノーベル賞などでも、単独での受賞とともにチーム研究の受賞が増えている。 「集合天才」という概念である。 相互研究の公開が新しい知恵を生む。 どのような情報も、そこに何か新しい知恵があれば、 それがヒントとなって次の知恵を生むのだ。 ビジネスの世界でもプロジェクトやチームがますます重要な役割を持つ時代になっているが、 本書は「共著」という物理的概念を超えて、専門家の集合分析書というレベルに達していよう。 三好先生のますますのご活躍をお祈りする。 2011年10月 3日 彫り出された精霊たち。
棚田康司氏は、木材彫刻による少年少女像を制作して 注目を集める造形作家である。 かつてミケランジェロは、大理石の中に聖母がいる、 といって聖母像を彫刻して見せたそうである。 棚田氏の作品も、日本古来の彫刻作法のひとつである「一木造り」によって 一本の木の中に眠っていた 華奢でどこか不安げな少年少女を彫り起こしたかのようである。 彫り出された少年や少女は、はじめて見る世界に戸惑う精霊のようだ。 スパイラルホールのスパイラルガーデンで10月10日まで展覧会が開催されている。 感性の時代はアートの時代だということがよく分かる作品に出合うだろう。 |