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2012年2月27日 ファッショントレンドからライフスタイルトレンドへ。
流行の服を買って、それを自己表現と認識していたファッショントレンドの時代から、 自分の興味、生き方を軸にモノやサービス、ショップなどを選択する ライフスタイルトレンドの時代へと移行しつつあります。
自らがステキに時間を過ごせることに思いをめぐらし、 そのスタイルに合う服を購入しています。 ライフスタイルトレンドとは、人が多くの時間を費やしたいと思えるモノ、サービス、時間。 ほとんど一生とも言える1万時間以上惜しみなく時間を費やせるものでしょう。 人はプロになり、プロフェッショナルウェイを生きようとしています。 もはや、ライフスタイルは時間の過ごし方そのもの、 言い換えればライフ=命そのものとなっています。 2012年2月24日 『MAISHA』の思想。
インテリアショップ「フランフラン」が創業20周年を記念して、 インテリア&スタイルマガジン『MAISHA(マイシャ)』を創刊した。 「MAISHA」とは、「生活」「暮らし」の意味を持つスワヒリ語らしい。 525円(税込)で巻末に500円の買物チケットがついている。 編集長は雑誌『アンアン』で辣腕を振るった淀川美代子さんだ。 さすがにコンテンツの充実振りと レイアウトののセンスのよさは折り紙つきで、 市販の一般インテリア誌の上を行く。 これからの専門店は物を売る前に学習を売る。 情報とは物の使用価値を上げるためのツールなのだ。 物だけ売っていてはダメ、学習情報を提供せよ。 その後から物はついていく。 2012年2月22日 空気のような目。
京都のスモールモダニズムミュージアムとも言うべき何必館で、 ロベール・ドアノーの「ドアノーの愛したパリ」展を見てきた。 生涯に渡り、パリとパリに生きる人を撮影し続けてきたドアノーの写真は、 撮ったというよりも、つまんだ、呼吸したというような感覚である。 一瞬の瞬きがシャッターであるようだ。 およそ力まず、日常の中で呼吸した写真とも言いたい感覚である。 撮ったのではなく、写真紙にリプレイスしたような感覚なのだ。 シャッターチャンスといったような形而上的視点をはるかに越えている。 街を歩くと八百屋もパン屋も気軽にドアノーに声をかけてきたという。 彼は街の空気と化していたのだ。 本物のライフアート、本物のポエムビジュアライゼーションと言うべきだろう。 2012年2月21日 高齢社会をどう見るか。
上野千鶴子氏の特集が『現代思想』から出た。 『おひとりさまの老後』(法研).のヒットを含めて 高齢社会問題では彼女のオピニオン抜きに この問題を語ることはできないだろう。 ウィメンズ アクションネットワーク(WAN)を立ち上げて、 「新たな女性問題」に取り組んでいる。 私がアドバイザーを務める日本小売業協会の生活者委員会で 上野氏の話を聞く機会を設けた。 上野氏は社会学者の視点からこの問題の本質をずばり読み解いてくれた。 一言で言えば、独居老人とか孤独死といったネガティブ視点から見ていては、 この問題の本質は分からないということである。 個人社会の進行が止まらない中、 この問題の本質をポジティブに見れば、 高齢者が自由を得た、ということである。 自由に出かけられる自由、ライフスタイルを設計できる自由。 長生きして良かったという肯定的認識である。 寂しさや不安を感じたら、仲間に戻ればいいのである。 高齢社会をリスクやコストの面から見てはならない。 高齢社会の到来は、高度成熟社会の到来なのである。 やってきた新しいパラダイムの面からこの問題を理解する必要があるだろう。 2012年2月20日 依存からの脱却
深刻さが増してきた高齢社会で今、 1世帯1人で生活するお一人様老後の問題が顕在化してきた。 しかし、課題をネガティブに捉えてばかりではなく、 肯定的に受け止める。 一人でいる自由を手にしているという認識のうえで、 仲間と時間を共有できると捉えれば、いささか気分も楽に感じられてくる。 翻って国に目を向ければ、 国が抱えた膨大な借金は、財政破綻したギリシャを彷彿とさせる。 かの大国、ローマ帝国が滅亡したのは、 「パンとサーカス」という言葉にあるように 市民への過度な社会保障によるものとも言われている。 成熟した社会は、義務を蔑ろにしながら、多くの保障を求める。 今、自己の領域を自覚し、 依存状態から脱却していくことをもう一度考え直してみてもいいのではないだろうか。 2012年2月17日 「祈り」の再創造。
「新しい祈りのかたち」をライフスタイルコーディネーターの山田節子氏を プロデューサーに迎えて、「厨子」という形で 現代によみがえらせようとした力作アートの作品集である。 山田氏は、松屋生活研究所のメインメンバーとして活躍されてきた方であり、 Gマークの審査員でもある。 彼女の仕事を繊研新聞社の渡辺直子氏がまとめたのが本書 『アルテマイスターと山田節子のの仕事「新しい祈りのかたち」を作る』(繊研新聞社)である。 祭壇を「厨子」というコンセプトで再創造しようという チャレンジスピリットにあふれたアーティストたちの作品が紹介されている。 生活も生命も「匠」によって再創造されることがよく分かった。 山田節子氏、渡辺直子氏の今後のご活躍を祈る。 2012年2月16日 成長から分配へ。
先日、久々にクラブウェルビーの「新春の集い」でお会いした波頭亮氏より 新著『成熟日本の進路~成長論から分配論へ』(ちくま新書)をお送りいただいた。 まさに今こそ日本は戦後最大の大転換期にさしかかっている。 それは価値観の世界的転換に伴い、 日本の枠組みをどう再編するかという問題だ。 波頭氏はそれを<成長論から分配論へ>と指摘している。 ながらく日本および世界をひっぱて来た成長の時代が終わり、 これからは限られた資源・資産を どう再分配すべきの議論こそ要だということだ。 今世界中の人々全員が満足いく生活を送ろうとすれば 地球は1.25個分必要で、 アメリカ並みの生活を維持しようとすれば5.3個分必要なのだという。 もはやすでにキャパオーバーしているのだ。 物も心も、成長ではなく、再分配の段階にきていることは明らかだ。 波頭氏の今後のご活躍をお祈りする。 2012年2月13日 地に足のついたコマーシャリズム。
鉄道は、駅と駅とをつなぐだけではなく、街と街とをつないでいる。 それは、地域のお客様のみならず、 街の文化までも交換されているから。 鉄道駅は、ひとつの相互交換のメディアとして成り立つ。 今日、きのうまで街を歩いていた人が突然、 街のキャラクターとして登場する。AKB48のようなものである。 街に代表性を持たせた新しい表現。 新しい時代の流れは「日常の幸福」と「ホームグラウンド」の中にある。 地域を代表するお客様=ホームグラウンドカスタマーを素直に映し出し、 地に足のついたコマーシャリズムを実践していこう。 住まう人がこの街でよかったと思えるように。 2012年2月10日 投資運用の歴史と未来。
日本にもいよいよ本格的な投資運用の時代が来た。 三好秀和氏は、私と同じ立命館大学の実務家教授であり、 客員教授になられてから8年。 その間、金融マネジメントの専門家として、 数々の研究と成果を発表してきた。 高齢社会の到来は年金社会の到来であり、 金融マネジメントは、特に個人にとってますます大きな課題になる。 三好先生のたゆまぬ努力に敬意を表して、 最新の御著書 『日本の投資運用業の生成、発展と課題』(同友館)を紹介させていただく。 2012年2月 9日 江戸絵画の豊穣。
アートはその代表的分野のひとつである。 伊藤若冲の絵画に見られるごとく、 微に入り、細にわたるその圧倒的な ディテール描写は見るものを圧倒する。 文化性の高い出版シリーズとして評価を得ている ピエ・ブックスシリーズの『旅する江戸絵画』 (金子信久著)を手にしている。 本書の特徴は数々の江戸絵画の部分描写を クローズアップしているところにある。 この細部にはこんな細かい描写があったのか、 という驚きが感動を呼ぶ。 ピエ・ブックスシリーズの果たしている表現資料としての 価値の高さに大いに共感する 。当社も「江戸美学研究会」を」立ち上げているが、 本書には強く刺激された。 2012年2月 6日 「ステキな話」をしよう。
戦後のモノがない時代、単純にモノが求められていた。 一方的にモノを提供することで、高度成長をもたらし、 世界第2位の経済大国にまで上り詰めた。 しかし、今、その考えは終わった。 モノがあふれるこの時代、 一方的にモノを提供するだけでは、顧客からの関心を失い、 いづれ淘汰されてしまう。 そうならないために、顧客を見誤らないようにしなければならない。
彼らの関心は、どこにあるのか。 常に透明感を持って、ステキな話をしよう。 ステキな話をみんなと共有し、ステージプロデューサーになろう。 ライフスタイルをよりステキにできるステキな話をしよう。 アイデアあふれる話をしよう。 そうすれば、もっとステキな力が、社会に生活に湧いてくるはずだ。 キーワードは「ステキな話の交歓」である。 2012年2月 3日 全員がクリエイターになる日。
鈴木恵治氏という知人より詩集が2冊送られてきた。 人生には“美しい老い方”というものがあるだろうが、 詩人はその典型のひとつだろう。 一読、心を洗われる。 詩という言葉の結晶が持つ力だろう。 たぶん、人生の経験や学んできたものを 篩いにかけると詩になるのだ。 言葉を練磨し続けて創ったものをものを、 きちんと本にして世の中に出すことはすばらしいことだ。全 員がクリエイターとして世の中に再登場する時代が来た。
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