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2012年8月29日 KATAGAMI
江戸時代は生活文化が多様に花開いた時代だった。 まさに百花繚乱、その担い手が町民という市民文化であったところが特徴である。
生活の中にあるものは、すべて知らず知らずのうちにアートの領域に達した。型紙もそのひとつである。 職人たちが生活の技として磨き上げた文様は、アートと呼ぶほかはない。 その高い抽象性はモダンアートと言ってもいい。京都国立近代美術館で開かれていた「KATAGAMI 世界が恋した日本のデザイン もうひとつのジャポニズム」展を見た。 生活アートとはこういうことなのか、それはどのように形成されるのか。大きな示唆を受けた。
2012年8月28日 森のエコロジー。
エコロジーとは生態系のことである。すべては循環して繋がっているという発想だ。 『奪われる森』(新潮文庫)で、平野秀樹氏と安田喜憲氏が、日本の森の危機に警鐘を鳴らしている。 日本の森が外国資本に買われているというのがこの本の趣旨だ。 日本は森の国である。現在でも国土の70%が森だというが、かつては100%近かったろう。 森が失われると水が失われ、海が失われる。 森は日本の生態系の中心なのである。森を守ることが日本を守ることだ。 この警鐘はよく心に響く。 生き方と信念を持って警鐘し続ける人がいることは、日本にとって幸いである。
2012年8月27日 発信と交流。
情報は受発信であるが、受信ばかりでは前へ進めない。 ますます発信力の時代である。 だから多様な発信力を公開する場が重要になってくるのだ。 メディアの役割とはこれである。 北山創造研究所が発刊する多様な情報発信の場、 『ENERGY LINK &』が 1999年の創刊以来、13期目を迎えるそうで、 その記念すべき号をお送りいただいた。 事業構想大学院大学学長の野田一夫氏など 刺激に満ちた論客の発言に目を開かれる。 これからは個人の発言が世界を動かしていく。 発信と交流こそ、その舞台だろう。
2012年8月24日 オリジナリティとコミュニティの力。
コミュニティがコンセプトを持ち、独自の情報を受発信し、 カルチャーをオリジナリティ豊かに育て上げていくことで 、コミュニティ文化の集合体が出来上がる。 多様性とはそういうものだろう。 『協創するまち Crearive Community DAIKANYAMA 代官山ビジネスガイドブック』(代官山研究室) という本をお送りいただいた 。代官山とは不思議な感性を持ったエリアで、 “もうひとつの山の手”とでもいうべき雰囲気を持った街である。 その核心にあるのは“優れたセンス”だろう。 マスマーケティングの時代は終わりを告げ、 これからは小さくてもカルチャーの時代である。 エリアとしては小さくても、代官山の未来は開けている。 2012年8月20日 メディアシティ・銀座
オリンピックのメダリストたちが銀座をパレードした。
都市間連携にこそ、活力がある。 パレードができるような都市を構築することが今後、求められる都市像ではないでしょうか。
日本を代表する繁華街として、銀座はパレードを実施するにふさわしい都市だ。 果たして、渋谷はどうだろうか。公園通では、少し物足りない。
京都では、祇園祭や時代祭があり、御池通や河原町通、四条通は広い道幅を確保する以上に、周囲もそれにあわせたデザインが完成されている。
土地にはびこる利権を一度、無に帰して考えてみても、銀座を、年1回、パレードを行うメディアシティとして機能させていくことはできないだろうか。
きっと都市力を活性化させるに違いない。 2012年8月15日 メセナ・パラダイム。
日本メセナ協議会の会合で、 公益財団法人セゾン文化財団の 片山正夫氏とお会いした。 ご紹介するのは、 セゾン文化財団の活動レポート誌 『THE SAISON FOUNDATION 』である。 現代演劇・舞踊分野を中心に 多彩な助成活動を展開する同財団は、 理事長・堤清二氏の現代芸術育成への 情熱によって連綿と続いてきた。 これからのパトロナイゼーション、メセナ活動は、 余剰の予算依存の活動ではなく、 自ら予算を持つ強い自立支援だろう。 セゾン文化財団はそのような依存から自立への パラダイム・チェンジを その活動の基底に置いているように見える。 だからこそ20年以上にわたって、 その活動を継続できたに違いない。 21世紀は文化が先、経済は後の文化経済社会である。 セゾン文化財団の活動に拍手を送りたい。
2012年8月14日 サマー・ホリデー・プログラム。
夏休みは楽しみの時でもあり、学びの時でもある。 楽しみと学習が一体化した「楽習」が イベントのコンセプトになりつつある。 所ジョージさんが主宰している 「所ジョージpresents世田谷ベース公認第44回全日本自動車ショウ」 というイベントが渋谷ヒカリエで開催されていて、 好評のようである(8月19日・日曜日まで開催)。 このイベントの実施・企画には弊社も微力ながら関わっている。 どのようなイベントも「楽習」をコンセプトにすべき時がきた。 学びと遊びはイコールの時代だ。 2012年8月13日 ネクシンクからイマジナス8月6日号からネクシンクはイマジナスへと名前を変更しました。
20年以上も前の話しですが、あらゆる情報を整理していき、メモを作ってクライアントに提供すると、たいへん喜ばれた。FAXの普及度が五割を超えたので、FAXを使って情報を提供する「ファクスプレス」として産声を上げました。新しい情報整理新聞として、お客様のところに週単位で告知する新サービス。好評を得ました。
それから25年が経過し、インターネットの普及による影響で、パラダイムの転換が起こった。市場という枠組みを超えて、社会全体で次の価値観へ移行していく。その次の社会価値とは何か。次はどういう社会。社会学的な見地で、物事が大きく変化していっている。
その社会的な変化を見つけ出しヒントを提供する情報サービスにする必要が出てきました。
こうして社会軸の基点、力点となる情報誌イマジナスへと生まれ変わりました。 2012年8月10日 温泉。ステキな時間の過ごし方。
日本の最大のライフエンターテインメント・コンテンツのひとつである 「温泉」の自主研究誌『温泉まちづくり』(財団法人 日本交通公社)を見る。 すべてのサービス産業の軸は 「ステキな時間の過ごし方」としてのライフスタイル提案にある。 温泉は、その中でもひときわ日本の文化性にあふれた 優れたコンテンツだろう。 本誌の中で板室温泉大黒屋の室井俊二氏の 「アートの精神で旅館経営」と題する講演録が記載されている。 大黒屋さんは、弊社の主宰する「文化経済研究会」のメンバーでもあり、 まさにアートという文化によって経済を発生させている優良企業である。 物を売るのではない、要は「ステキな時間の過ごし方」を提供するのだ。 こう思い切るところに、ライフスタイル産業時代の突破口があろう。 2012年8月 9日 育てる。
次世代への貢献として、 「育てる」という概念は非常に重要だろう。 特に「人を育てる」ことはほとんどその国やその地域、 その集団の未来を決定するといっても過言ではない。 昭和女子大学がアエラとコラボして、 『昭和女子大学byAERA』を発行した。 学長の坂東眞理子氏とAERA編集長の一色清氏との対談、 「昭和ボストン」で学ぶ学生の生活、企業との共同研究、 若さあふれるキャンパスライフなど、 雑誌感覚で多彩に編集している。 ニュータイプの学校案内といえるだろう。 「学習」から「楽習」へ、 人の育て方にも情報社会の波が訪れている。 2012年8月 8日 文化経済のシグナル。
弊社が主宰する「江戸美学研究会」の看板ができた (正式には招木札というらしい)。 江戸美学研究会が最初にインタビューに行ったのが 浅草合羽橋の「福善堂」という看板製作所で、 そのご縁で製作していただいた。 漆黒の江戸文字できりりと書かれた文字は、 江戸文化の粋を表して心地よい. これから必要なのは文化の探求であり、 そこに好奇心や興味が集まって小さな市場群を形成する。 それがより大きな市場の最小単位になるのだ。 文化が経済を引っ張るのである。 2012年8月 6日 継続は力なり
おかげさまで弊社が立ち上げた江戸美学研究会も3年目を迎えました。 石の上にも3年といいますが、クラブ活動として、初期の頃から、日本人が求める原点回帰に応えられるよう、自らコトを起こしながら展開してきました。
それは、江戸と京都という日本人の感性のよりどころとなるものを見直し、再発見を提示し続けるものです。
このクラブ活動は、主催者側が楽しんでいるから続くものです。 やっている本人が楽しんでいなければ、芽を出したところで、根も張れず朽ちていきます。
そのポイントは、頼まれて活動を起こすのではなく、自らの着想で活動を起こす。そこで、クラブ活動のネットワークの中で一緒になって研究する。それが楽しさの輪となり、広がっていくでしょう。
そして、続けること、これほどの選ばれる理由の強化はありません。 2012年8月 2日 コミュニティデザイン。
今の時代の最重要キーワードのひとつ、それは「コミュニティデザイン」である。 地域という言葉がかなり長く使われてきたが、それは都市の対抗概念としての「地方」に近かった。今コミュニティは地域生活共同体、あるいは都市でさえもコミュニティの集合体と見る考え方が高まっている。 私も理事を務める日本デザインコンサルタント協会の総会において、蓮見孝氏にお会いして、話す機会を得た。『地域再生プロデュース~参画型デザイニングの実践と効果』(文眞堂)というご著書をお送りいただいた。 同氏はすでに札幌私立大学学長に就任されており、今後ご専門の地域デザインを軸に学生を育てていかれる。札幌市はコミュニティデザインを研究するには最適のサイズの都市だと私は考えている。 今後もご意見を拝聴しながら、あるべきコミュニティデザインを追求していきたい。 2012年8月 1日 古希からの未来構想力。
全員からメッセージをいただいた。 心より感謝している。 高齢社会を迎えて、古希は普通にやってくる年齢になった。 それでも人の人生において、ある区切りであることは確かだろう。 生き方を明確にする時期でもある。 私の場合、「生涯現役」である。 大切なことは未来構想力だ。 生き方×暮し方×働き方×学び方=未来構想力である。 クリエイティブにサステイナブルに、 社会学的ポジションにたって、古希からの人生を生きて行きたい。
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