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2012年9月28日 伝え方の革新。
大日本印刷の文化振興を担う「財団法人 DNP文化振興財団」は 毎年銀座で印刷文化の新しい可能性を示す展覧会を開いており、 その成果をアニュアルレポートして一冊の本にまとめている。 IT時代の到来とともに、グラフィック媒体としての紙の印刷物は、 そのポジションを問われているが、 日本は絵巻物、絵草紙といった優れた紙媒体の長い歴史を持っており、 決してデジタル化できない優れたプリント媒体の凄みを知っている。 印刷会社の本質的な使命は、紙文化の持つ力の可能性を探る続けることだろう。 その意味で、大日本印刷の文化行為は敬意に値する。 伝え方の革新に挑戦し続けているのだ。 2012年9月28日 アートアクアリウムの世界。
先日、アートアクアリウムプロデューサー木村英智さんの 金魚のインスタレーションを鑑賞しにコレド室町を訪れた。
ライティングによっていろんな表情を見せる 金魚蜂を泳ぐ様々な金魚を、いろんなテーマ領域で魅せている。
江戸の遊郭を表した「花魁」をはじめ、 そこに繰り広げられるアートは変幻自在だ。
今までにない、新しい概念の創出である。
生きている金魚自身が圧倒的な演技者として舞台に立ち、 アートアクアリウムが醸し出す世界は、 ここに現代に蘇える江戸の美学という感じを受けたので、紹介する。 2012年9月27日 散歩の時代。
鉄道会館創立60周年記念行事のシンポジウムに パネリストとして参加した。 そのとき同じくパネリストとして参加していたのが 出版プロデューサーの鈴木伸子氏で、 鈴木さんは元『東京人』の副編集長を努められた。 鈴木さんのご著書『東京「昭和地図」散歩』(だいわ文庫)をいただいた。 文化の時代になって注目されているのが「散歩」である。 単なる健康志向ではなく、コミュニティの文化発掘への興味である。 東京というよりも江戸、昭和に対する文化的願望が、 新しい東京再生のポイントになりつつある。 「思い出」は人間だけにしかない精神作用である。 懐かしさは人間だけが持ち得る心の滋養なのだ。 街おこしは散歩から、である。 2012年9月27日 故山本丈晴先生、1周忌追悼演奏会。
先日、財団法人古賀政男音楽文化振興財団主催のコガミュージアムで開かれた 山本丈晴先生の1周忌追悼演奏会に招かれた。
山本丈晴先生は昨年9月に逝去された。 私が独立するとき、非常に応援をいただいた大切な人でした。
山本丈晴先生は、女優の山本富士子さんのご主人であり、 作曲家、そしてギタリストとして、かけがえのない日本を代表するアーティストであり、 様々な場で活躍される中、私もデザイナーとして、いろんな場面でお手伝いしたことがある。
先生は財団法人古賀政男音楽文化振興財団の理事長して、 その創立から運営に至るまで20年近く尽力されてこられた。
古賀雅夫先生の一番弟子だった先生は、 今回、明治大学マンドリンクラブOB会の演奏を受け、山本富士子さん自身の舞台の復元も含めて、この追悼演奏会が開かれた。
ご本人も悔いることなく、ご逝去されたこと非常に残念と思う。
すばらしい演奏会にお招きいただき、 久々に先生のすばらしい人柄を思い出し、感激したので、皆様にお伝えしたい。 2012年9月26日 東京スーベニール
東京駅の復原工事が10月1日、竣工を迎えます。
約1世紀の時を経て都市に求められる軸足は反転軸をむいています。
今、住みたい街、学べる街、遊べる街、訪れたい街と都市文化ゾーンというような都市が求められています。
単なる交通の結節点とするのではなく、お客様に東京100年の知の集積を感じて持ち帰っていただく場所であるべきです。
高齢社会に突入し、一人暮らし世帯が大半を占める中、生活者視点を睨み、理想を具現化させていきましょう。
すると、百貨店もショッピングセンターも第三の視点で見つめなおさなければならない時期であることはすでに明らかです。 2012年9月21日 創造する経営。
経済から経済が生まれた時代から、 文化から経済が生まれる時代への大転換が起きている。 このような「文化経済」の市場を読み解くため、 弊社が文化経済研究会」を立ち上げてから10年たった。 この10周年を記念して『創造する経営』(ライフデザインブックス) という本を上梓させていただいた。
ゲストパネリストとしてご講演いただいた方の中から 10名の方に起業への熱い思いとその思想、理念を語っていただいた。 最後に、創造的経営感覚でファッション業界に 新たな人材育成の視点を持ち込んだエスモード・インターナショナルの
仁野覚代表と私との対談で締めくくってある。 共通点はどなたも「企業を創造した」ということである。 21世紀の文化経済の時代は、
すでにあったものを無難にマネージしていけばいいという時代ではない。 新しい課題に対して、創造的なコンセプトとアイデアで 解決策を新たに創り出していく時代である。 企業は創造していく時代になったのだ。 新しい経営の足音が静かに聞こえてくる。 より多くの方にお読みいただくため、 朝日と日経に広告も出稿した。 都内有名書店には現在置かれているはずだ。
ぜひご一読いただき、感想など賜りたいものである。
2012年9月20日 「ありがとう」の国の人。
中谷彰宏氏よりご著書をいただいた。 『感謝の星~人生がまるごと楽しくなる39の方法』(中谷彰宏事務所)である。 一見いつものノウハウ書に見えて、中身はもっと深い。 すべての人は感謝の星か、確認の星のいずれかに住んでいるのだという。 感謝の星の人には、いつも「ありがとう」があり、 確認の星の人はいつもクエスチョンマークを出して、 「ありがとう」がないという。 確認の星の人は「あれもしなければ、これもしなければ」であり、 感謝の星の人は「○○したい」「○○が好き」であるという。 これからの生き方は、成功の確率を追いかけるのではなく、 人生の個人的興味と使命を追いかけるということだろう。 人生指南の名人、中谷氏の本領発揮である。 彼の説くモチベーションには大いに共感する。 2012年9月18日 日常のリピーター
周辺を巻き込む集客を提案していかなければなりません。
催しごとに一人ひとりが参加して応援するファンという立場から、さらに飛躍し当事者として関わることが大切です。
年間目標となる3000万人をヒカリエは達成できる見込みにあるそうです。六本木ヒルズ、東京ミッドタウンも、それぞれ目標を掲げ達成することができました。
日常のリピーターをどれだけ獲得できるかが、ショッピングセンターの生死を分けます。
これまでのやり方では成しえない、21世紀型の経営を推進していきましょう。
リピーターの気持ちを掴み取る。そのために現場を100回訪れ、感覚を研ぎ澄ます、リアリティを肌で感じることでしか、日常のリピーターを獲得する術はないといえるでしょう。
それは、提供者側が、最も当事者とならなくてはならないからです。 2012年9月14日 新しい社会の価値構造。
立命館大学の経営学部、環境デザインインスティテュート教授の 佐藤典司(さとうのりじ)氏が著された著書 『モノから情報へ~価値大転換社会の到来」 (財団法人 経済産業調査会)をお送りいただいた。 タイトルにもあるとおり、現在進行中のパラダイムシフトを 、真正面から論じた本であり、 私も同意する点、大きく主張が連鎖する点がが多々あった。 どのような価値構造が21世紀社会の根底にあるのか、 この理解ほど重要なポイントもあるまい。 20世紀の物質主義、大生産主義が終わろうとしていることは確かである。 モノから情報へ、サービスへ、そして心へ、大精神社会の到来といえよう。 2012年9月11日 路地から世界へ。
先日京都に帰った折、 ステキなチョコレート屋さんを見つけた。 三条下通りの路地の奥にひっそりと、 しかし大変おしゃれに存在していた。 「マリベル」というお店である。 ニューヨークから出店しているらしいが、 いきなり東京ではなく、 京都の、それも路地の奥というところに 優雅な出店戦略が感じられる。 ニューヨークから東京では、 モダンからモダンへで、 歴史を感じさせない。 間に京都を挟むことで、 日本の歴史と文化の香りを身に付けて、 それからいずれ東京へ、 という戦略とお見受けした。 違いのい創造と革新こそ、 文化の時代のキーポイントだ。 こんご、京都はその意味から ますます国際性を帯びるだろう。 「路地から世界へ」、 文化の時代は そのようなステップも可能なのである。
2012年9月10日 21世紀型の経営の姿
生活者の興味軸に寄り添った経営を行う時代です。
生涯、幸福である姿を追求していくと、素敵な時間の過ごし方の提案に行き着きました。
生活者が好きなことを行う。その興味軸が縦軸とすれば、「食」は横軸として機能し、暮らしを支えます。
これが逆転して、提供者側の都合のいいように、カスタマー・サティスファクションを技術の向上であると履き違えてはなりません。カスタマー・サティスファクションは、一人ひとりが満足できる提案をさしています。
店頭が、倉庫や展示会のような場所となってしまってはなりません。店頭で販売をするのではなく、お客様作りをする場所という認識を持ちましょう。販売した相手を顧客と呼ぶのではなく、顧客を獲得した先に販売があるのです。
お客様がいた20世紀型の経営から、最初にお客様を持つ21世紀型の経営を進めていきましょう。 2012年9月 7日 「親孝行」の時代。
『男女1100人の 「キズナ系親孝行、始めました。」 ~平成親子の“つながり術”(河出書房新社)という著書をいただいた。 牛窪さんは大変勘のいいマーケッターであり、 今までにも「おひとりさまマーケット」「年の差婚」「草食系男子」「独身王子」などの 優れたキーワードを世に広めてきた。 キーワードの力とは、 茫洋と存在していた価値観や現象を見事に圧縮して言い当てることにより、 市場をそこに現出してしまうことにある。 彼女が次なるキーワードとして提出した「親孝行」は キズナ系社会の根本にある力であり、 個人に集約されすぎて人間的な関係性を失ってしまった 現代社会の重要キーワードになるだろう。 ヨコ関係の「友だち」からタテ関係の「親子」へ、である。 それはたぶん「先祖崇拝」まで至る価値観だろう。 2012年9月 6日 ヴィレッジ・コンセプト。
創刊号の記事取材のため、 GKデザイングループ代表、栄久庵憲司氏をお訪ねした。 かの有名な醤油指しをはじめ、 日本のプロダクトデザイン界をリードしてきた栄久庵氏のデザイナー人生を 振り返ったのが本書『デザインに人生を賭ける』(春秋社)である。 ひとつのことを成し遂げようとしたときに、 人生はあまりにも短い。
(道具寺道具村概念図)
物と道具と人の聖地、「道具寺道具村」の設立を デザイン人生の最終目的とされているようであるが、 同じデザイン人生仲間として、ぜひ応援したい。 これからはコミュニティ、テーマパークといった茫洋とした概念を超えて、 「村=ヴィレッジ」が重要な行動拠点になるだろう。 それは「村」がもっとも小さな思想共同体であり、社会だからだ。 2012年9月 4日 ロンドン散歩。
ツアーの訪問先、ロンドンをぶらり散歩。 書店で見つけたのが、「A WALK in LONDON」、 まさにロンドン散歩ガイドである。 導かれるように、ロンドンのテムズ河畔にある国立美術館、 テート・モダンに行ってきた。
そこではかのムンクの作品展を行っていた。 彼が時代とともにますます評価を高めているのは、 言ってみれば「近代の不安」とでも言うべきものを 視覚化して見せたからだろう。 その意味で、彼のアートを超える作品はまだ出ていない。
言ってみれば彼は偉大な心理学者だったのだ。 テムズ河畔のもう一方にある美術館DESIGN MUSEUMでは 「勝つためのデザイン」というタイトルで、 スポーツをモチーフとしたデザイン展を行っていた。
これからの観光名所はミュージアムであり、 ギャラリーである。 文化観光都市、ロンドンの実力を見た。
2012年9月 3日 都市のセントラル構想。
今や国を超えて、世界をネットワークするのは「都市」である。 先週1週間、毎年恒例の弊社主催の海外ツアーへ行ってきた。 訪問先はロンドンである。 ロンドンはロンドン駅を中心に、強力な再編集が進行していた。 都市内ネットワークの主軸を果たすのは「駅」であるが、 その存在が、ターミナルステーションからセントラルステーションへと変貌しつつある。 日本でも東京駅が大リニューアルを経て、 セントラルステーション機能をの獲得を目指しているが、 これは都市機能の革新を目指す世界都市の重要課題のひとつだろう。 パラリンピックの時期でもあり、 街全体が見事な色彩計画と視覚計画で構成されていて、 色とサインという直感言語を活用していたのは興味深かった。 都市の構想にコンセプトとデザインが求められている。 |