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2013年2月20日 江戸の智恵~持たずの思想。
養老孟司氏と徳川恒孝氏の対談集『江戸の智恵~ 「三方良し」で日本は復活する』(PHP研究所)を読んだ。 「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」が 「三方良し」だが、近江商人の商売哲学といわれたこの考え方は、 江戸時代にぴたりと当てはまるらしい。 帯に「日本人には<ほどほど>がちょうどいい」とあるが、 これは今の日本と世界に当てはまる考え方である。 ビッガー・イズ・ベターのアメリカ式大量主義から 日本や東洋のほどほどサイズ主義の時代への パラダイム転換期が今である。 養老孟司氏の説明はもはや不要であろう。 徳川恒孝氏はなんと徳川宗家十八代目当主であり、 世が世ならば、「将軍様」「お殿様」である。 なるほど悠然としたお殿様然とした発言が随所に見られるが、 その指摘するところは的を射ていて、 教養とはこういうものかと納得させられる。 「江戸の智恵」とは一言で言えば「持たずの暮らし」だろう。 際限のない物質主義の踊らされてきた日本人も、 ここへ来て、待てよ何かおかしいぞ、と気づき始めた。 そして行き着いたのが「江戸の智恵」である。 ほどほどで十分ではないか、物を持ちすぎると不幸になる。
当社も「江戸美学研究所(通称、エビケン)」という サイトを立ち上げて、江戸美学の研究にいそしんでいるが、 その理由も江戸時代のほどほどの思想と そこから発信される美意識と知恵に共感したからだ。
もはや江戸はブームではない。 それはライフスタイル思想なのだ。 |