被災地ボランティアから戻りしばらくしたある日、サイクルボーイ 谷さんから「進展があった」との連絡を受けて私たちは再び工房を訪れました。
前回の訪問から1カ月後のことです。
この日の工房はBGMにJazzが流れ、心なしかいつもよりもリラックスした雰囲気でした。
到着早々、「こんな感じ」といって谷さんが差し出したスケッチノートには、私たちを驚かせる、“まったく新しい自転車”が描かれていました。
私たちのコンセプトと「新しい記号」が融合した、SURSUS自転車の原石ともいえるこのデッサンを現時点ではまだ皆さんにお見せすることはできませんが、中軸となるであろう、1つの「形」について、今回、少しだけご紹介したいと思います。
前回のブログでも触れましたが、その「形」をを導き出したのは、顕微鏡だったようです。
谷さん:「今回の自転車の根幹の1つに「強い」というイメージがあり、【アーバンミリタリー】というキーワードが浮かびました。しかし、突き詰めていくと、その「強い」形はどういう概念で強いとされるのか……。私なりに模索する中で「あるべきしてある形」である結晶の中に強いの記号性のものがないか、と顕微鏡を覗いてヒントを探していたんです。そしてある日、それに出会った」と、谷さんはうれしそうに笑います。
そのインスピレーションから導き出された「形」がこちらです。
谷さん:「必要だからできてきた形、つまり各々の機能が形となって現れるアノニマスデザインという考え方において、この「形」は大きな機能と意味を持っています」。
今は1つの素材ですが、やがて谷さんの手によってSURSUSコンセプト「生き延びること。継続すること。自己で解決すること。」を体現し、かつ、人々の心を動かす「こと」へと変貌とげていくことでしょう。
どんな力を帯びるのか、今から楽しみです。
ところで、谷さん、いつも顕微鏡を覗いてデザインを考えているのでしょうか。思い切って聞いてみました。
SURSUSスタッフ: 今までも自転車作るときに顕微鏡みることってあったんですか?
谷さん:……ない(笑)
私たちのチャレンジは、谷さんにとってもまったく新しい試みであるようです。
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