阪神大震災の時に防ぐことができた災害死はおよそ500名。
災害死とは、災害による火災・水難・家屋の倒壊など災害の直接的な被害による死ではなく、
避難生活の疲労や環境の悪化によって、病気にかかったり、
持病が悪化したりするなどして死亡すること。
災害死の中には、救助されたにも関わらず
病院での適切な治療を受けられずに亡くなるケースも含まれる。
これを受けて、病院における災害時の備えも見直されるようになった。
静岡県立総合病院では、昨年末住民700名とともにトリアージ訓練を行った。
トリアージとは、災害医療において、
負傷者等の患者が同時発生的に多数発生した場合に
医療体制・設備を考慮しつつ傷病者の重症度と緊急度によって分別し、
治療や搬送先の順位を決定すること。
助かる見込みのない患者あるいは軽傷の患者よりも処置を施すことで
命を救える患者に対する処置を優先するというもので、
日本では阪神・淡路大震災以後知られるようになった。
一般病院の救急外来での優先度決定も広義のトリアージであり、
識別救急とも称する。
同病院が行ったトリアージ訓練では、
100名の住民がけが人役となって、血のりなどで特殊メイクをし、
それぞれに症状が配分された。
トリアージ役の住民にはこの100名の症状は知らされない。
この訓練では、重症と軽傷の取り間違いが5例だった。
その中の例としては、血が出ている患者や一見負傷が見当たらない患者。
怪我の血を見て、出血が少なく意識もはっきりとしている場合は重症ではない。
また、負傷がなくても「倒壊した家屋の中で家具に長時間挟まれていた」というケースは
クラッシュ症候群という一刻も早い治療を必要とする患者だ。
病院への搬送を最小限に抑えられることが、
重症者の治療を可能にする。
いざその時になった時に、
ほんの少しの訓練ではおろおろしてしまう。
こういった実践的な訓練が今、必要とされている。
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